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柔道七段、タバコに感謝?

東海学園大学 衛生学

村松 常司 教授 Muramatsu Tsuneji

養護教育、学校保健

高校までの教科で関連するのは

保健体育

みなさん、自分の健康に気を付けていますか?身近な人の健康を気遣っていますか?生活が不規則な「教授の授業」取材班の初訪問先は、愛知教育大学(注1)の村松常司先生です。

村松先生の専門は、学校保健と衛生学。イメージとしては、保健室の先生の先生といえます。もうひとつの顔は、講道館柔道7段! 現在は、愛知教育大学 理事・副学長である先生なのですが、「タバコに感謝」というビックリ発言を聞きつけました。えっ?その真意は?!

注1:取材時と2011年4月以降とで所属大学が異なります(2011年4月に東海学園大学へ異動)。

先生はタバコを吸うのですか?

いえ、僕は吸いません。しかし、タバコがあったから僕の研究は成り立ちました。そして今にいたります。そういう意味で、タバコに感謝しています。特に、青少年とタバコの問題に取り組んできました。本人の喫煙防止ももちろん重要課題ですが、タバコを吸わない子どもであっても、誰かが隣でタバコを吸っていれば、タバコの煙にさらされます。「子どもの受動喫煙」ですね。この研究が、すべてのはじまりになりました。

なるほど。愛煙家へのエールにはならないようです。

この「受動喫煙」という言葉ですが、これは、比較的新しいキーワードなのですよ。僕が研究を始めた1975年頃は、日本では一般的に知られていませんでした。特に「子どもの受動喫煙」における問題点について、理解されていませんでした。研究方法についても、試行錯誤の連続でした。思えばこのころから、僕の研究スタイルは、ゲリラ戦法でした。

ゲリラ戦法、つまり手当たり次第、バラバラに。ということですか?
なんとなく、「研究とは、順番に系統立てて行うものである」と思っていました!

人それぞれですね。研究の仕方も、自分で考えます。アイデアが大事です。僕は、「良い」と思ったアイデアをどんどん取り入れて、やり方もぱっぱと変えていくのが性に合っているのです。

具体的には、どんな感じなのでしょうか。

例えば、タバコの煙、あなたはどう感じますか?

えーと、目や喉が痛くなります。

なるほど。共感する人は多いと思います。しかし他人には、それが本当なのか、どの程度なのか、分かりません。僕は当時、そういう主観的影響を調べていたのですが、客観的な指標も欲しいと考えました。そして調べているうちに、アイデアあふれる実験方法(下図)に出会ったのです。それはスイスの研究者の客観的指標を用いた論文で、「そのアイデアはすごい」と思ったので、会いに行き、共同研究を合意され、留学しました。

「面白いな」と思ったことをやってみて、その中で発見をし、研究を紡いできました。受動喫煙の次は、喫煙防止教育の研究をしましたが、思ったようには成果が上がらなかったのです。どうしたら良いかと考え続けた結果、「セルフエスティーム(健全な自尊心)」という観点が必要だとわかり、これが現在のテーマです。自尊心というと、堅苦しいですが、「褒められると嬉しい気持ち」が日常の行動を決定する大きな要素であり、興味深い。生活の中の身近なテーマです。

研究は、どんな場所で利用されるのですか?

主に、保健室の先生(養護教諭)が行う生徒指導に利用されています。小・中学校の先生の協力のもと、生徒へのアンケートや調査を実施し、研究結果を情報提供し、生徒指導に活かしてもらいます。最近では、セルフエスティーム(健全な自尊心)やストレスの感じ方と、生活習慣との関連を調べ、どのような指導が有効か?などの質問のやり取りをしています。「生徒のやる気を引き出すにはどうしたらいいか」は、重要な課題です。この課題は、大人にも当てはまるところがありますね。

授業をとおして、どんなことを伝えたいですか?

衛生学、健康教育は、事実を知って、知識をつけても、残念ながら行動が伴わないことが多いものです。健康関連のテストで満点をとった学生でも、不健康な生活をしているかもしれません。タバコの害を認識していても、やめない人もいるでしょう。けれど、将来、自分が気づいたときには、知識を活かして、望ましい健康増進をしてほしいと思います。

村松 常司 教授の授業を受けるには

詳しくは、参考リンク先等をご確認ください。

■このページの情報は、2009年8月の取材を元に作成された情報です。
情報利用については、「教授の授業」免責事項をご確認ください。

メッセージ

受験勉強以外に勉強してほしいこと ~中学生・高校生のみなさんへ~

クラブ活動をしっかりやってください。高校3年生の夏まで、頑張っていいと思います。僕は大学でも柔道と衛生学、まったく関係のないことを並行してやっていました。運動部でも文化部でも、そこには社会の縮図があります。どこの社会でも人間関係が大事です。勉強をして運動をして友達をつくってください。挫折を経験し、ストレスを感じて、自分を知りましょう。やはり、社会に出れば競争にさらされます。自分なりの対処の仕方を学ばなければいけません。

大学時代を有意義に ~大学生のみなさんへ~

いろんな経験を積んでください。アルバイトでも、ボランティアでも、部活でもいいです。いろんな人と関わって、自分の適不適を知ることが大事です。

専門分野の立場から ~社会へ~

法律について。日本はアメリカと比べれば、良いと思われる案件であっても、施行されるまでに時間を要します。たとえば、健康増進法の「受動喫煙の防止」は、2003年にやっと施行されました。今、懸念しているのは、1984年に公布された「たばこ事業法」(財務省管轄)です。この法律の第一条には、「我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もつて財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする」という文章があります。皆さんはどう感じますか?

教えて先生!どうして勉強しないといけないの?

むずかしいねぇ。人間は一生勉強ですから、そのときそのときでその年代にあった勉強をしてかないかんと思うよ。僕も、やり続けていくしかないと思っています。

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チャレンジ!大学の先生からの宿題

(1)タバコについて、自分の考えを書いてみましょう。

(2)お父さんが吸っている、お母さんが吸っている人は、手紙を書いて返事をもらいましょう。

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日本学校保健学会

2008年第55回日本学校保健学会」学会長
学校保健研究 第55回 日本学校保健学会 講演集 「青少年の健康支援への工夫 受動喫煙・喫煙防止・攻撃受動性・セルフエスティーム」

取材こぼれ話

教育について一言!
教育は、伝える工夫が大事ですね。たとえどんなにいい授業内容だとしても、伝わらなければ意味がありません。以前こんなことがありました。小学校で喫煙防止のための授業を行ったときのことです。次のAとBは、どちらも同じ内容の授業ですが、生徒への呼びかけ方を変えただけで、異なる結果になりました。
A:授業の最後に生徒に「お父さんお母さんに、授業の内容を報告しましょう」と言った場合
B:授業の最後に生徒に「お父さんお母さんに、手紙を書きましょう」と言った場合
Aの授業では、次の日の朝、「ちゃんと言った人~?」と聞いたら、手を挙げた生徒は一人もいませんでした。ところが、Bの授業では、生徒全員が手紙の返事をもらえた。という極端な結果になりました。「伝えるためには、工夫が必要」と痛感した授業です。

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